会津ラボの阿部です。普段はバックエンドエンジニアをしています。今回は手持ちのグラフィックボードを分解清掃・改造したお話です。
はじめに
今回使用するのは GeForce RTX 3060 12GB です。2021年発売で少し古いですが、メモリが多いためまだまだ現役です。
NVIDIA GeForce RTX 3060 12GB
発売:2021年
メモリ(VRAM):12GB
TDP(消費電力):170W
処理性能:PS4 < PS4 Pro ≈ Xbox Series S < RTX 3060 < PS5 ≈ Xbox Series X
※ 処理性能比較は大まかな目安です

PCゲーム用途では非常に普及したモデルです。昨今のAIブームに関連してPCでAIを動かすローカル推論に使うこともできます。
運用上の問題点
一方でこの個体に特有の問題があります:
- 高負荷時に内部温度が非常に高くなる(100%負荷で93度)
- 高負荷時にファンの音が非常にうるさい(隣の部屋の端に置いても非常にうるさい)
原因を分析してみます:
- GPUグリスの経年劣化による冷却性能低下。一般的にグリスの耐用年数は2~3年のため、既に超過している
- このモデルはシングルファンのため、風量を確保するために高回転数になる。ファンの騒音は回転数を上げると急激に大きくなる(回転数が2倍になると音のエネルギーはおよそ30倍以上)ため、高回転だと非常にうるさい。加えてモーターの経年劣化(軸受が摩耗して振動しやすくなる)で、高回転時に異音が出やすい可能性も
原因から解決方法を考えます:
- GPUグリスの再塗布。これによって大幅に改善する可能性あり
- ファンの交換。大口径ファンにすることで風量を確保しつつ回転数を下げ、騒音を抑える
今回のゴールは以下の2点です:
- 同じ部屋の中で使える程度の騒音レベルに抑える
- 高温時にサーマルスロットリング(保護のための性能制限)が発動しないようにする
⚠️免責事項⚠️
当然ながらグラフィックボードの分解は保証や修理が受けられなくなります。行う場合は自己責任で
- メーカーの保証期間が過ぎている(大抵は1~3年が保証期間)
- ある程度自分でできる(CPUグリスアップ、ファンの配線やはんだ付け、分解したあと復元できる技量)
- 壊れても構わない、という心構えと予備のグラフィックボード(メインで使用しているグラフィックボードではやらないのが無難)
本題
工程ごとの写真は撮り損ねたため、写真がない工程は雰囲気でお伝えします。
分解

ファンやヒートシンクを取り外し、基板むき出しの状態です。青っぽい基板の上のチップがGPUで、その周辺にある6つの黒いチップがメモリですね。

ヒートシンク側です。この鉄板がGPUに密着して放熱します。
サーマルパッド(熱伝導シート)がメモリや他の発熱する部品に接触するようになっています。GPUだけでなくいろいろな部品が発熱するため、複雑な形状になっています。
・・・よく見るとGPUとヒートシンクが接触する部分にサーマルパッドが貼ってあります。つまりこのモデルはGPUグリスを使っていないようです。サーマルパッドも経年劣化で熱伝導性が下がるため、交換が必要です。
GPUグリス塗布

グリスを目一杯塗布しました。サーマルパッドの代わりにGPUとヒートシンクの間を埋めるように塗ったため、非常にたくさん塗ることになりました。当然ながら非推奨です。グリスは本来もっと薄く塗ります。
一応このまま動作テストしました。温度的には5度程度改善しましたが、根本的な改善が必要そうです。
GPUがヒートシンクに密着するよう加工
GPU-ヒートシンク間の距離が短くなるよう、ヒートシンクの足部分(プレートにある4箇所)を金属ヤスリで削ります。
- 非常に繊細な作業のため参考にならないかもしれません。削りすぎてGPUを破損しないよう要注意
- 作業中にGPUや基板をヤスリで傷つけないよう要注意(部品を隔離)
- 高さが変わるため、サーマルパッドの厚みを調整
ファンのケーブル配線とファン取り付け
取り付けるファンはPCケース用の140mmファンです。本来は変換コネクタが必要ですが、今回は既存品を流用します。GPUファンのケーブルを切断し、PCファン用のコネクタをはんだ付けします。

ご参考として変換コネクタのイメージです。「gpu ファンケーブル」で検索すると見つかります。

ファンをヒートシンクに結束バンドで固定します。無骨ですが機能十分です。
パフォーマンスの確認

- 負荷100%で温度が93度 → 85度と改善しています
- 今回はファン回転数を調整し、意図的にとても低い回転数にしているため温度が高めになっています
- 回転数を調整しない場合は負荷100%で75度程度になります(そちらの画像は撮り忘れました)
ファンマウントの自作
一部の界隈では3Dプリンターでファンマウントを自作するそうです。今回挑戦してみました。

- ファンとヒートシンクが密閉され静圧が高まる → 冷却効果が上がる
- 見た目が多少良くなる
- マウント自作にあたりファンのサイズを120mmに変更
実際の効果の程ですが、計測していないため不明です。体感レベルですが同じ回転数比較で0.5度くらい温度が下がったような気がします。騒音レベルは変わりませんでした。いずれにせよ、効果はかなり限定的なようです。
おわりに
今回は手持ちのグラフィックボードを分解清掃し、少し改造し、満足の行く結果を得ました。次回はグラフィックボードの外付け化をご紹介しようと思います。
- GPUグリスの再塗布:効果大。リスク低め
- 大口径ファンに交換:効果大。別途ケーブルが必要
- 3Dプリンターによる自作マウント:効果小。玄人向け

